デジタルデータに対する過大評価(データの寿命)

どうも、コンピュータやデジタルという言葉は、人に過大な期待を持たせるようです。

先日、メンテナンスでおうかがいしたお客様宅のPCのハードディスクが、製造後7年目に突入していた事が分かり、バックアップを取られているかどうかの確認をしたところ、ノーバックアップ状態だということが分かり、のんびりと構えておられたお客様とは逆に、こちらの方が、「これは何とかせねば!」と、慌てふためくような状況でした。
お客様にしてみれば、「コンピュータはスゴイから、何かあってもどうにかなる」と、変な先入観をお持ちだったようで、「デジタルデータほど寿命の短い、もろい存在は無い」ということを理解してもらうまで、結構な時間を要しました。

今では、個人のデータのほとんどを保存しているのは、ハードディスク(HDD)ですから、HDDの寿命が、すなわちデジタルデータの寿命とも言えますが、最近のHDDの寿命が、だいたい3年程度。また最近は、HDDではなくメモリストレージのSSDを使ったパソコンもよく見かけますが、SSDの寿命が5年程度と言われています。
ついでに言うと、USBやSDカードなどのフラッシュメモリは、書き換え上限回数と言う制約に加えて、電気を通さず放置していると、電荷が抜けてデータが蒸発する情報保持能力の寿命もあり、一般的なパソコン用途向けフラッシュメモリデバイスでしたら、高品質なMLCタイプでも5年ぐらい、安価なTLC式ですと数年放置していると、データは抜けてしまう、と言われています。
業務用途向けの高価なメモリデバイスでも10年ぐらいが揮発の目安とされていますから、どんなにお金をかけて頑張ってみても、パソコンの中に保存するデジタルデータの寿命は、せいぜい10年程度しかありません。
では、データをDVD-Rなどの光ディスクに焼いておけばどうでしょうか。光ディスクの製造業界団体は、理論値で100年とか、途方もない事を言ってますが、光や温度など適正な条件管理下での保管で10年〜30年と言われています。
しかし、弊社のお客様の状況などを見ていると、現実には、そんなに完璧な保管状態は期待できませんし、東南アジア製の安価なメディアを使っておられたりしたら、数年で、データが変質したり読めなくなっている現実もあります。
光ディスクにしろ、HDDにしろSSDにしろ、今はまだ、「データ○年保証」をうたっているメディアは、存在しませんから、極端な事を言ってしまえば、たとえ新品のメディアを使っていても、1日でデータが失われる、という可能性だってあるのです。
メソポタミアの粘土板が5000年以上前の情報を現在まで残していますし、そこまで遡らなくても、最古の写真(ガラス乾板)は190年の保存実績が既にあり、紙と墨ならば法隆寺にある聖徳太子が書いたとされる「法華義疏」が1400年間文字データを保存し続けています。
それを思うと、たかだか数年で消えてしまうデジタルデータの、なんと儚い事でしょうか!

では、そんな儚いデジタルデータを長く保存するには、どうすれば良いのでしょうか。幸い、デジタルデータは、寿命はあっても、劣化することはありません。それは、コピーを重ねても同じで、元データとまったく同じ無劣化の複製データをいくつでも、何度でも作る事が出来ます。
ですからHDDのデータなら、数年ごとに新しいHDDやSSDにコピーをして、代替わりをさせれば、永遠に無劣化のデータを引き継いで行けます。
しかし数年ごとだと、その数年の間に、元データのHDDが壊れてしまっては、肝心のデータも失われてしまいます。それを防ぐには、常日頃から、元データとまったく同じバックアップデータを作っておくしかありません。
「古事記」や「日本書紀」も、オリジナルは戦乱や腐蝕で失われてしまい、既にこの世には存在していませんが、それらは代々、写本という形で何人もの人が各地で幾つものバックアップを取り続けていたからこそ、現在までその内容は伝え続けられているのです。
大切なデジカメ写真や、恋人との想い出深いメールなど、いつまでも残しておかねばならないデータは、いくつものバックアップコピーを、新しいメディアを使って、何回も、幾つも作っておくのがベターです。できればそれらを一ヶ所にまとめて保管するのでなく、あちらこちらに分散して保存しておけば、万が一、地震や火事に見舞われても、必ずどこかにデータは、残しておけます。

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