素人のためのパソコン基礎知識【ファイルシステム】

6月13日、AppleからMacOSのファイルシステムを現行の「HFS+」から、「Apple File System」に変更すると、発表がありました。
ところでMacに限らず、Windowsユーザーも本来、このファイルシステムというものは、パソコンを使う上で必ず把握しておかねばならない基礎知識の一つで、これを知らないと、多様なデータのやりとりの機会が生じた場合には、四苦八苦することもあるのです。しかし、はたしてどれほどの方がファイルシステムを意識しながら、パソコンを使われておられることでしょうか。

ファイルシステムとは何者なのかをざっくりと言ってしまえば、パソコンがハードディスクやUSBメモリといった記憶デバイスにデータをどのように書き込むかを規定した決まりごとです。そして、ディスク上でバラバラに格納されているデータの集まりは、そのままではどこな何があるか分からないので、それを人間に分かりやすいように、ファイルという形に換えて見せてくれているのがファイルシステムです。この機能は、OSによって提供されていて、OSごとに規格は異なっています。例えばWindowswでは、「NTFS」や「FAT」といった形式のファイルシステムが。そしてMacでは「HFS+」というファイルシステムが使われています。先述の「Apple File System」は、「HFS+」の後継となるMac用の最新のファイルシステムだ、ということです。

Windowsの起源とでもいうべきMS-DOSは、フロッピーディスク時代の産物で、そのMS-DOSのファイルシステムはフロッピーディスクへのアクセスのために作られました。その時に採用されたのが「FAT」というファイルシステム。「FAT」は、限られた容量を効率的に使うには良かったのですが、その後ハードディスクが普及する大容量メディア時代に至っては、「FAT」では何かと問題が多いことから、徐々に「FAT12」、「FAT16」、「FAT32」へと、機能が拡張されてきました(現在は、「FAT32」以外は、すべて「FAT」と総称されています)。
「FAT32」は、Windows 95の時代に生まれたファイルシステムで、当時、2GBを超える容量のハードディスクが出現したにも関わらず、「FAT16」では、2GBまでのメディアしか扱えなかったために、Windows 95のバージョンアップで提供されるようになりました。それ以降、Windows95、98、Meのファイルシステムとして稼働し続けます。

そんなWindows9x系列とは別に、当時、Microsoftは新OSとして、IBMとの共同開発のOS/2をリリースしていました。しかしその後、OS/2を見限ったMicrosoftは、OS/2をベースにした独自のOS開発へと舵を切り替えました。それが、現在のWindows10へとつながる、Windows NTです。
NTでは、FAT系とはまったく違う、「NTFS」というファイルシステムが採用されました。Windows NTからXPへとつながり、Win7、8を経て、最新のWindows10も、この「NTFS」が、採用されています。

一方、Macの世界では、こちらもまたフロッピーディスクを相手にした「MFS」(Macintosh File System)というファイルシステムが、1984年の初代Macintosh登場と同時に採用されました。翌年には、改良版の「HFS」(Hierarchical File System)へと発展し、Macintoshの特徴の一つであるアイコンを使ったGUI(クラフィカルユーザーインターフェース)を実現するために、一つのファイルには実データに加えてリソースフォークと言う2つ目のデータも内包した、Macintosh特有のファイルシステムが実用化されました。この「HFS」は、「Mac OS 標準フォーマット」とも呼ばれるほど、Macの礎となったファイルシステムです。
しかし、ハードディスクの大容量化の波は「HFS」も時代の中の淘汰へと追いやり、1998年に後継の「HFS+」が、MacOS8.1に導入されます。これが現在まで続いている、MacOSのファイルシステムです。しかしこの「HFS」も、今回のAppleの発表により、今秋その役を終え、後継の「Apple File System」へと移行することになりました。

Windows、Macのファイルシステムについてのみ、ざっと、その流れを説明しましたが、同様に他のOSも、それぞれ、異なったファイルシステム(例えば旧ガラケーは、SymbianOSのファイルシステムを使っている、といったぐあい)を使用しています。そして基本的には、OSは他のファイルシステムのハードディスクを操作できません。いわゆる、サポート外ということになるのです。そのため、例えば壊れたMacのハードディスクのデータを取り出そうと思ってWindows機につないでも、データは読み出せません。なぜならWindowsは、Macの「HFS+」を読めないからです。

ただしMac(や一部Linux機)については若干事情が違います。実はMacOSには、自分用の「HFS+」に加えて、「FAT」「FAT32」も読み書きできる機能が組み込まれているのです。そのため、Windowsの「FAT」や「FAT32」でフォーマットされたハードディスクもUSBメモリも、Macなら読み書きができてしまうのです。ただし、「NTFS」形式については、Microsoftが「NTFS」の仕様を公開していないことから、書き込み操作に不明な部分があるため、読み出し機能だけしかMacOSでは提供されていません。

ここで、フォーマットという言葉が出てきましたが、元々、「NTFS」も「FAT32」も「HFS+」も、それらが乗っているハードディスクは、物理的な構造(ハードウエア)は、まったく同じものです。それを個々のOSが独自の規格で、データ配置用の区切りを入れてデータを管理しているのが、ファイルシステムです。元々まったく同じハードウエアをソフトウエア(ファイルシステム)で異なった記憶デバイスに仕立て上げているわけです。この、ソフトウエア操作でハードディスクを特定のOSで使えるようにする操作が「フォーマット」と言います。

今は、USB接続の外付けハードティスクが数多く売られていますが、多くの製品は工場で「FAT32」でフォーマットしてから出荷しています。その理由は、前述のように「FAT32」がMacでも読み書きできるから。「FAT32」で出荷しておけば、WindowsにつないでもMacにつないでも、そのまま、即、使用できますから、メーカーも「Win/Mac両対応」とうたえてサポートにも手間がかかりません。ユーザーもOSを(つまりファイルシステムの違いを)意識せず、とりあえず使えます。また、持ち歩き用の外付けデバイスとしては今や主流のUSBフラッシュメモリも、同様の理由から、多くが「FAT32」でフォーマットされています。

しかし中には、「HFS+」や「NTFS」でフォーマットされた外付けハードディスクも市場に流通しています。前者は、当然ながらMacでしか認識しませんから、「Mac専用」と表記されています。そして、その多くはWindows用の同機能製品よりも、若干高値で販売されているようです。
一方後者については、先日も某国内大手有名メーカー製のWin/Mac両対応外付けハードディスクを購入されたお客様から「新品なのに使えない!」、との依頼を受けて調査に赴いたのですが、調べてみると、そのディスクは工場出荷段階で「NTFS」フォーマットされている製品でした。そのため、Macで使おうとしていたお客様がデータを書き込もうとしても拒絶されて「使えない!」、という事態に陥っていたという次第。結局、Macのディスクユーティリティを使って、「HFS+」でフォーマットしなおしてやることで、Macが使えるハードディスクに仕立て直したのですが、作業をしながらお客様には「取扱説明書には、そのあたりの注意書きが書かれているはずですよ」と言いながら、取扱説明書(と言っても、紙一枚だけ)うらおもて、なんどもひっくり返してはよくよく探してみたものの、Macを使う際の注意書きは、どこにもかかれていません。
「書かれているはずですよ」と言った手前、絶対どこかに書いてるはずの注意書きを探さねば、と目を皿のようにして見ていると、パッケージの裏側に極小の文字で、Macでご使用の際はホームページをごらんください、との記述を発見。要するに、メーカーサイトを見てフォーマットしなおせ、ということなのですが、Win/Mac両対応とあれば、製品添付の取説でフォーマットのし直しを大きく明示していなければ、誰でもそのまま使えると思ってしまいます。これでよくまあMac対応をうたっているものだな、とあきれてしまいました(巨額の不正会計がまかり通るメーカーでしたので、マニュアル作成もさぞかし風通しが悪い中で作られたものだったのかもしれませんね)。
そんな製品も世の中にはあると言うことですから、冒頭にも書きましたが、ファイルシステムも含めて、ハードディスクに関する基礎知識は、自己防衛のためにも把握しておきましょう。
今は、Windows機もMacも、構成ハードウエアのパーツの規格は同じですから、Windowsで使える機会は、基本的にソフト的な操作(この場合は、フォーマット)次第で、WinでもMacでも使えます。ですから、このような不親切な外付けハードディスクでも、Win/Mac両対応とうたっていても機能的にはまったく問題ないのですが、使う人がファイルシステムの基礎知識を知らなければ、せっかくの出費も装備も役に立たなくなってしまいます。

役に立たないと言えば、それぞれのファイルシステムのメリット・デメリットも把握しておかないと、いざ使っている上でデメリットに直面すれば、何の役にも立たない事態にもなってしまいます。
「FAT32」だと、WindowsにつないでもMacにつないでも、どちらでも使えるメリットがありますが、なにぶん古いファイルシステムですから、一つのファイルのサイズが4GB超だと扱えないとか、大容量デバイスになると利用効率が落ちると言ったデメリットがあります。4GBだと、DVD1枚分の容量にも満たないサイズですから、DVD1枚分の動画ファイルは扱えないということです(分割して一つを4GB以下にしなければ保存できません)。
つまり、外付けハードディスクやUSBメモリなどを「FAT32」にこだわって使い続ける、というケースでは、巨大なサイズのファイルは絶対に扱わず、かつ、WindowsだけでなくMacやLinuxなど他OSのPCにつなぐ可能性がある場合のみ、ということになります。
もしWindows環境でしか使わない、と予め分かっていれば、何も古めかしい非効率な「FAT32」で使い続ける必要はなく、「NTFS」でフォーマットしなおして使えば良いでしょう。同様に、Macでしか使わない、ということであれば、不便な制限に縛られている「FAT32」を「HFS+」にフォーマットし直してやればOKです。特にMacのバックアップ機能であるTimeMachineは、「HFS+」でフォーマットしたドライブでなければ利用できません。

Windows7以降とMacを混在して使う場合は、「FAT32」の容量制限を克服した「exFAT」というファイルシステムもあります。ただし、基本構造はFATですから、「NTFS」や「HFS+」のような高速検索のための情報保存や高度な欠陥管理もなく、ファイルの所有者情報やアクセス権設定もできません。それでも、近年大容量化しているデジカメやスマホなどの外部ストレージ用途としては便利ですし、読み書きできるOSも幅広いので、この場合も、メリットデメリットをよく把握した上で使うならば、とても有益な選択肢となるでしょう。

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